死後の世界があるのかないのかという疑問は、人生の三大疑問とも言われ、多くの人たちが関心を持つ内容です。日本では死後の世界を信じる人が30％くらいという統計があり、世界的に見て信じる人が少ない傾向があります。近年の傾向として不幸な人ほど死後の世界を信じないことが見えるのですが、その理由について考察していきます。
死後の世界の存在に対する様々な考え方とは
死後の世界の存在については、長い間、人類がさまざまな観点から議論してきました。一部の人々は宗教的な信念に基づいて、魂が死後も存在し、別の次元や天国・地獄へと旅立つと考えています。一方で、無神論者や一部の科学者は、物質的な根拠がない限り、死後の世界の存在を否定する立場を取っています。
科学的根拠による死後の世界の否定
科学的な観点からは、死後の世界の存在を立証することは困難です。人間の意識や魂の本質については、まだ多くの未解明の点があります。脳科学や心理学の研究によれば、意識は脳の活動によって生じる現象であると考えられています。そして、脳の活動が停止すれば意識も消失するとする見解があります。
科学的な根拠からの死後の世界はないという証明となる有力な説としては、ホーキング博士による「ホーキング放射」という理論です。
これはブラックホールの中にある物質が、エネルギーまでを含めて全て消滅してしまう現象から、死後の世界や魂の存在を否定する理論になっています。
人間の魂や死後の世界を形成する物質が、もしも1ミリでもこの世にある物質やエネルギーと関係を持つものであるとするならば、それらのものは存在しないと言うことができます。
宗教的な世界観と現代社会との大きなギャップ
中世のような社会をひと言で説明すると、宗教を中心とした世界と言えます。それは強力な封建社会であり、例えばある人が農民として生まれたならば、その人は一生農民であり、子供や孫にいたるまで農民であるような社会です。同じように靴屋として生まれたのならば靴や、パン屋として生まれたのならばパン屋です。
そして中世では、人々は常に飢饉による飢えと、疫病などの病気と戦争に悩まされてきました。そのような不安な人々の心を慰め、希望を与えてきたのが宗教であったと言えます。そして、宗教の統治の大きな柱となっていたのが、死後の世界で天国や極楽のような良いところに行くことができるという教えとなります。
しかし、科学の発達により、地球平面説のような宗教的な世界観が否定され、イエスキリストの母である聖母マリアの処女懐妊説が疑問視されるようになりました。
そして、それを通り越して、SNSなどを中心として透明性が求められる社会となり、人生の成功において人徳が最も重要な要素となってきています。
簡単にいうと、昔は汚いことや悪いことをして金持ちになり幸せになれる人たちが多くいましたが、現代ではそういう人たちは淘汰されていき、実力があり良い人が成功し、金持ちになる社会になってきていると言えます。
不幸な人ほど死後の世界はないと信じている理由
結論部分になりますが、ひと昔まえでは中世の宗教的な世界観から、死後の世界を信じると宗教に勧誘されて、搾取され不幸になるため、死後の世界は信じないという強い傾向がありました。
しかし、現在ではそもそも宗教自体の関心が下がっている傾向が強いですが、宗教が理想とする人徳のある人間像が、社会の成功者の人間像と重なりつつある現象が起こっています。
つまり、この世界で成功しているひとは、世の中に貢献して人々に喜びや幸せを分け与えているため成功しているのであり、そのような人はいわゆる宗教でいうところの天国に入ることができる人たちであると言えます。
ですので、そのような人たちは死後の世界があるかないかは分からなかったとしても、死後の世界があると仮定すれば天国のような場所に行くことができる人たちであるため、あってもらっても何ら困ることはありません。
しかし、問題はいまの生活が不幸な人たちです。もちろん人が不幸になる原因はさまざまなものがあり、家族の不幸に巻き込まれるなど、自分に原因がないケースも多くあります。
ただ気を付けなければならないのは、自分の成長の努力が足りなかったり、自分の自己中心的な欲求に負けたり、他人に被害をあたえた故に不幸になっている人の場合、その状態で死後の世界に旅立ったとすると、宗教が主張するところの地獄や無間空間に行くことになります。
そういう人たちは心理的に死後の世界があってもらっては困るので、さまざまな科学的根拠を元に、死後の世界は存在しないと主張するようになります。これが不幸な人たちが死後の世界を否定する有力な理由です。
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